Solutions · Part 7

第7部 圏論と普遍性

第42–50章 · 27問

第42章

始対象と終対象——零項の普遍性

問題本文
問題1存在一意性を型のデータへ分解する

Problem

問題

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IsInitialAt I A を展開し、各対象 A への射、満たす条件、その射の一意性を区別せよ。 関数の圏における Empty について fromInitial を構成し、この関数が Empty の項を作っている のではなく、存在しない入力を除去していることを説明する。

同様に Unit への射を構成し、fromInitialUniquetoTerminalUnique がそれぞれ空性と一点性を どこで使うかを比較せよ。対象の要素数と、その対象を始域・終域とする射の一意性を混同しないこと。

ヒント

始対象Iについて、各Xへの射と、その射型が一要素である証明を組にします。

解答

始性は ∀X, ∃! f:I⟶X, True、すなわち各hom型 I⟶X が可縮であることです。データとして中心射 desc X : I⟶X と、任意の f:I⟶X に対する f=desc X を持ちます。単なる射の存在だけでは普遍性にならず、 一意性が異なる選択を同じにします。Leanでは Unique (I ⟶ X) または IsInitial I の射と一意性フィールドとして 読めます。

自由対象では「生成元写像を延長する射」の型が一要素であるという相対的な始性へ一般化します。

問題2普遍対象の一意性を導く

Problem

問題

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二つの始対象 IJ を仮定し、普遍性から I ⟶ JJ ⟶ I を得よ。二つの合成が各恒等射に 等しいことを、射の具体的定義ではなく一意性だけから示す。これにより始対象が一意な対象ではなく、 一意な同型を除いて一意であることを導け。

同じ議論を終対象へ双対化し、どの等式で合成順序が反転するかを明記する。証明を丸ごと暗記せず、 普遍性の一意性節から再構成できれば完了である。

ヒント

二つの始対象I,Jの普遍射 f:I⟶Jg:J⟶I を取り、合成を恒等射と比較します。

解答

始性からfとgが一意に存在します。g≫f:I⟶I𝟙 I は同じhom型の射なので始性の一意性から等しく、同様に f≫g=𝟙 J です。従ってfは同型です。さらにIからJへの射自体が一意なので、この同型も一意です。「等しい」ではなく 圏内で同型というのが一般の結論であり、骨格化や一価性がある場合にだけ対象等式へ強められます。

極限、自由対象、表現対象の一意性も、普遍射を往復させる同じ証明雛形で得られます。

問題3射を反転して終性を復元する

Problem

問題

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始性の定義に現れる全ての射を反転し、終性の式を数式で書け。反対圏という語を使う前に、対象を 変えず射の向きと合成順序を変える操作として説明する。

A → Unit が一意であることから A が一点型だとは結論できない具体例を与えよ。普遍性は対象の 内部要素を直接数える条件ではなく、周囲の全対象との射の配置を特徴づける条件であることを示すこと。

ヒント

Cの終対象は反対圏Cᵒᵖの始対象です。

解答

終対象Tは各XからTへの一意な射 X⟶T を持ちます。反対圏ではこれは op T⟶op X となり、op Tから任意対象への 一意な射なので始対象です。始対象一意性の証明を反対圏へ適用すれば、二つの終対象の間の一意な同型も得られます。 双対化では対象は同じでも、合成順 f≫g が反対圏で逆になることを型が管理します。

モノ射とエピ射、積と余積、極限と余極限も、定義を反対圏へ移して体系的に双対化します。

第43章

積の普遍性

問題本文
問題1錐から媒介射を構成する

Problem

問題

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productIsProductAt を展開し、任意の共通始域 X と二射から作る媒介射、二つの可換条件、 一意性を指せ。pairUnique で片方の射影条件だけでは不足する例を作り、積の値が両成分により 決定されることを関数外延性で証明する。

さらに成分を交換する swap を二回適用すると元に戻ることを示せ。値に対する計算と、関数全体の 等式へ上げる外延性の段階を分けること。

ヒント

f:X⟶Ag:X⟶B から対射 ⟨f,g⟩:X⟶A×B を作ります。

解答

積Pには射影 π₁:P⟶Aπ₂:P⟶B があります。任意の錐f,gに対し媒介射uを作り、 u≫π₁=fu≫π₂=g を要求します。Type では u x=(f x,g x) です。別のvが同じ二式を満たせば、各xで 第一・第二成分が一致し、積外延性からv=uです。存在と一意性を合わせてPが離散二点図式の極限になります。

複数の観察を一つの対象へ束ねるAPIを、積への媒介射として設計できます。

問題2普遍性をhom集合の同値として読む

Problem

問題

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積の普遍性を (X → A × B)(X → A) × (X → B) の対応として書き、順写像・逆写像・二つの 逆法則を構成せよ。[LEI14] の存在一意性による定義とhom集合の全単射による定式化を比較し、 productHomEquiv の四フィールドへ対応づける。

この全単射が全ての X に一様に存在することが重要である。特定の X について要素数が一致する だけでは普遍性にならない理由を説明せよ。

ヒント

Hom(X,P)→Hom(X,A)×Hom(X,B) を射影との合成で定義します。

解答

写像 Φ_X(u)=(u≫π₁,u≫π₂) の逆を Ψ_X(f,g)=⟨f,g⟩ とします。β則で Φ_X∘Ψ_X=id、η則で Ψ_X∘Φ_X=id なので全単射です。さらに k:Y⟶X による前合成と可換し、Xについて自然です。この自然性を含む Hom(-,P)≅Hom(-,A)×Hom(-,B) が、積を表現対象として特徴づけます。

普遍対象をhom関手の自然同型として表すと、米田の補題から一意性を統一的に導けます。

問題3零項の積と一意性の意味を調べる

Problem

問題

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終対象を零成分の積とみなし、任意の共通始域から選ぶべき射影が一つもないため、媒介射が一意に なるという議論を与えよ。二項積の定義を単に A × B の構文へ依存させず、零項・多項の場合へ 一般化できる形で述べること。

最後に、媒介射の一意性、積対象の定義的等しさ、積対象同士の一意な同型を区別せよ。普遍性が与える 一意性の水準を正確に説明できれば完了である。

ヒント

空添字族への錐は脚を一つも持たず、任意のXから頂点Pへの一意な射だけが残ります。

解答

零項積Pの普遍性は、各XからPへの媒介射が一意に存在することです。従ってPは終対象です。脚がないため可換条件は 空虚ですが、一意な媒介射の条件は消えません。集合の空積が一要素集合になるのも、空の選択関数がただ一つあるためです。 「要素がない積」を空集合と考えると、積の普遍性ではなく和の直観を混ぜています。

零項演算を含めると、有限積を持つ圏には終対象も含まれるという定義上の慣例を正確に読めます。

第44章

余積と双対性

問題本文
問題1余錐から媒介射を構成する

Problem

問題

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IsCoproductAt を展開し、二つの入射と任意の共通終域への二射から媒介射を作る過程を示せ。 copairUnique が直和の二構成子で場合分けする理由を、関数が全入力で一意に決まるという外延性へ 結びつけて説明する。

成分を交換する swap を定義し、二回適用すると元へ戻ることを証明せよ。積の場合の証明と並べ、 積では射影、余積では構成子による場合分けが中心になる差を指摘すること。

ヒント

f:A⟶Xg:B⟶X を場合分けする射 [f,g]:A+B⟶X にまとめます。

解答

余積Qには注入 ι₁:A⟶Qι₂:B⟶Q があり、任意の余錐f,gへ一意なuを与えて ι₁≫u=fι₂≫u=g とします。Type ではuは和型の二構成子をfとgで場合分けします。別のvも同じ式を満たせば、 和型の各構成子の場合にuとvが一致するので関数外延性で等しいです。

異なる入力形式を一つの処理へ統合する設計を、余積からの一意な射として捉えられます。

問題2普遍性を写像集合の同値として表す

Problem

問題

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余積の普遍性を (A ⊕ B → X)(A → X) × (B → X) の同値として構成せよ。順写像は入射との 合成、逆写像は場合分けであり、二つの逆法則がどの計算規則と外延性に依存するかを追う。

積のhom集合の同値と比較し、変数 X が式のどちら側に現れるかを書け。この変位が射の反転と どのように対応するかを説明できれば完了である。

ヒント

余積から出る射を二つの注入との前合成へ送ります。

解答

Hom(Q,X)≅Hom(A,X)×Hom(B,X)u↦(ι₁≫u,ι₂≫u)[f,g] で構成します。β・η則が逆法則を与え、 XからYへの射による後合成について自然です。積の式では可変対象Xがhomの第一引数にあり反変でしたが、余積では 第二引数にあり共変です。射の向きが自然性の向きも決めます。

表現可能関手と余表現可能関手を見分ける際、homの変数位置を最初に確認します。

問題3双対化を定義から実行する

Problem

問題

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IsProductAt の全ての矢印を反転して IsCoproductAt を導き、同じ手順を始対象と終対象にも適用せよ。 [MAC98] または [LEI14] の反対圏の定義と照合し、合成順序も反転することを確認する。

「射を反転する」は各関数の逆関数を選ぶことではない。逆関数を持たない写像を含む圏でも反対圏を 作れる理由を述べ、双対性が具体的な型同士の等式を与えるという誤読を反例で退けること。

ヒント

積の対象・射・等式を反対圏へ移し、op/unop後の向きを一行ずつ戻します。

解答

CᵒᵖでA,Bの積Qを取ると、射影 Q⟶op A はCで注入 A⟶unop Q になります。Cᵒᵖの錐 op X⟶Q はCの余錐 unop Q⟶X へ反転し、媒介射の存在一意性もCで余積の条件になります。従って反対圏の積は 元の圏の余積です。式を左右の語の置換だけでなく、各射の型へ戻すことで合成順の誤りを防げます。

新しい双対定理を述べるときは、反対圏で既存定理を適用してから記法を翻訳します。

第45章

圏・射・反対圏・宇宙

問題本文
問題1圏の法則を型の整合から検査する

Problem

問題

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四対象と三射を置き、結合律の両辺について中間対象を一つずつ追ってください。始域・終域が合わず 合成できない射列も一つ作ります。通常記法 h∘g∘f とmathlib記法 f≫g≫h を相互に翻訳し、 各単位律で使う恒等射の対象を誤らず書いてください。最後に三つの圏法則から一つを除いた構造を考え、 型が合うことだけではその法則を回復できない例を示せれば完了です。

ヒント

結合律の三射に対象を四つ付け、両辺の始域と終域を確認します。

解答

f:X⟶Yg:Y⟶Zh:Z⟶W なら (f≫g)≫hf≫(g≫h) はともにXからWへの射です。単位律は 𝟙 X≫f=ff≫𝟙 Y=f。型が合うだけでは等式は従わず、圏構造の法則として必要です。homが異なる宇宙に 属しても合成の入出力は一致しなければならず、対象宇宙と射宇宙を別に持つことで大きな圏も扱えます。

型付きAPIでは圏の型付けが接続不能な操作を排除し、法則が再括弧付けの意味保存を保証します。

問題2別のモノイドから一対象圏を構成する

Problem

問題

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文字列と連結、整数と加法、正方行列と乗法の一つを選び、AdditiveObject と同様の圏を構成してください。 恒等射、合成、三法則を元のモノイド法則へ対応づけます。非可換な例では二射の合成順を計算し、 圏の公理が可換律を要求しないことをLeanの不等式または具体的行列から確認すれば完了です。

ヒント

対象を一つにし、自己射をモノイド要素、合成をモノイド演算にします。

解答

文字列と連結から一対象圏を作ります。唯一の対象を★、Hom(★,★)=String、恒等射を空文字列、合成を連結とします。 連結の結合律と空文字列の単位律が圏法則です。自然数加法なら恒等射0、合成+の別例になります。非可換モノイドでは 合成順が観察できるため、どちらの文字列を先に連結するかを圏の の規約と一致させます。

一対象圏の関手はモノイド準同型、自然変換は適切な交換条件を満たす要素として読めます。

問題3反対圏で定理を双対化する

Problem

問題

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f≫g≫h を反対圏へ移し、射の型と合成順を全段階で書いてください。始対象の定義を反対圏で読み直すと 終対象になることを、既習の存在一意性から説明します。f.op と逆射 f⁻¹ の型・存在条件を比較し、 反対圏を群oid化と混同していないことを反例とともに示してください。非全単射な関数を射として選び、 その op は常に作れる一方、逆関数は作れないことまで型と論理式で区別できれば完了です。

ヒント

「左逆を持つ射はモノ射」を反対圏へ適用します。

解答

Cでfが右逆gを持ち f≫g=𝟙 とします。反対圏では f.op は左逆 g.op を持つためモノ射です。反対圏のモノ射は Cのエピ射なので、右逆を持つ射はエピ射と分かります。直接には u≫f=v≫f の両辺へgを後合成し、結合律と 右逆式でu=vを得ます。双対化した結論を直接証明すれば、向きの誤りを発見できます。

分裂モノ射と分裂エピ射、核と余核なども同じ方法で双対定理を生成します。

第46章

関手——圏の構造を保つ写像

問題本文
問題1保存則を準同型の法則へ翻訳する

Problem

問題

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一対象圏の射を任意のモノイド M とし、関手の map_idmap_comp をモノイド準同型の二法則へ 翻訳してください。scalingFunctor では各法則が自然数のどの等式になったかをLeanの証明から抽出します。 さらに n↦n+1 がどちらの法則に失敗するかを最小の反例で示し、対象写像だけでは不足する理由まで 説明できれば完了です。

ヒント

一対象圏の関手が自己射に与える写像を取り出します。

解答

モノイドM,Nを一対象圏と見ると、関手Fは唯一の対象を唯一の対象へ送り、射写像 φ:M→N を与えます。恒等射保存 F(𝟙)=𝟙φ(e_M)=e_N、合成保存 F(f≫g)=F f≫F gφ(m·n)=φ(m)·φ(n) です。従って関手法則は モノイド準同型の単位・積保存則そのものです。対象写像が自明でも射と法則が情報を持ちます。

群・環を一対象または構造付き圏として見ると、構造保存写像を関手の特殊例として比較できます。

問題2合成関手の法則を成分ごとに復元する

Problem

問題

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F:C→D, G:D→E, H:E→K を置き、(H∘G)∘FH∘(G∘F) の対象成分と射成分を展開して 一致を示してください。次に左右の恒等関手との合成を同様に計算します。圏の射の結合律ではなく、 関手を作る写像の合成が結合的であることを使っている箇所を区別し、mathlibの 記法へ翻訳します。

ヒント

(F⋙G).map f=G.map(F.map f) を二つの保存則で順に書き換えます。

解答

恒等射について G.map(F.map(𝟙 X))=G.map(𝟙(FX))=𝟙(G(FX))。合成について G.map(F.map(f≫g))=G.map(F.map f≫F.map g)=G.map(F.map f)≫G.map(F.map g) です。各等号の一段目はF、二段目はGの 関手法則です。対象写像の合成だけ定めても射写像とこれらの証明がなければ関手になりません。

関手合成の結合性が定義的か自然同型までかを、実装上のレコード表現と区別して確認します。

問題3反変性を反対圏の型として検査する

Problem

問題

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写像 f:X→Y, g:Y→Z に対し、反変関手の像の型と合成保存式を書いてください。まず通常の記法で P(g∘f) を展開し、次に Cᵒᵖ⥤D の通常の map_comp として同じ式を得ます。f.op が逆射では ないことを、非可逆な関数を一つ選んで確認してください。さらに反対圏側で恒等射保存則を展開し、 反変性のために関手法則を追加変更していないことを示して、反変性と可逆性を分離できれば完了です。

ヒント

反変関手を Cᵒᵖ⥤D とし、Cの射 f:X⟶Y をopしてmapします。

解答

f:X⟶Y は反対圏で f.op:op Y⟶op X なので、Fは F(op Y)⟶F(op X) を返します。合成 f≫g のopは g.op≫f.op となり、F.mapはこの順序の合成を保存します。したがって「反変関手が合成を逆にする」 という別法則を追加せず、通常の関手法則と反対圏の合成で表現できます。

前層、homの第一変数、双対空間を反対圏からの通常の関手として統一します。

第47章

自然変換と関手圏

問題本文
問題1可換正方形を型から再構成する

Problem

問題

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f:X→Yα:F⇒G だけを出発点に、四対象 F(X),F(Y),G(X),G(Y) と四射の型を書いてください。 左上から右下への二経路を型の合う順に合成し、自然性の等式を得ます。数式の とmathlibの の 双方で書いてください。成分の添字を交換するとどこで型が合わなくなるかを特定し、可換という語を 図の印象ではなく同じ始域・終域を持つ二射の等式として説明できれば完了です。

ヒント

η:F⟶G の成分と f:X⟶Y に対し、FXからGYへ至る二経路を書きます。

解答

成分は η_X:F X⟶G X です。二経路は F.map f≫η_Yη_X≫G.map f で、ともにFXからGYへ行きます。 自然性は両者の等式です。対象ごとの射を集めただけではこの整合条件がなく、圏の射に沿って選択が一様とは限りません。 正方形は記憶用の図ではなく、型が許す二つの合成を比較したものです。

多相関数の自然性やデータ構造mapとの可換性を、関手間の自然変換として表せます。

問題2一対象圏で自然変換の存在を判定する

Problem

問題

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scalingFunctor k から scalingFunctor l への成分を自然数 c と仮定し、自然性を全ての自然数 n に 関する方程式へ翻訳してください。k=l なら任意の c が使える理由を証明し、k≠l なら n=1 から 矛盾を導きます。次に非可換モノイドへ一般化し、自己変換の成分が中心に属する条件を導出してください。

ヒント

モノイド準同型φ,ψの間の成分はNの一要素nで、自然性を全mについて書きます。

解答

一対象圏の関手F,Gは準同型 φ,ψ:M→N です。自然変換の唯一の対象成分は a∈N。自然性は全mについて φ(m)·a=a·ψ(m) です。Nが可換でφ=ψなら任意のaが自然変換になります。一般にはこの交換子条件を満たすaだけです。 従って対象成分の型が存在しても、自然性方程式に解があるとは限りません。

表現間のintertwinerや加群準同型も、作用と交換する自然変換として読めます。

問題3関手圏の圏法則を成分で証明する

Problem

問題

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三つの自然変換 α:F⇒G, β:G⇒H, γ:H⇒K を置き、垂直合成の結合律を各対象 X の成分で 展開してください。左右単位律も同様に恒等自然変換の成分へ還元します。各等式が終域圏のどの圏公理から 従うかを明記し、自然変換全体の等式へ戻す際に成分外延性が必要であることを説明できれば完了です。

ヒント

恒等自然変換と垂直合成を対象ごとの恒等射・合成で定義します。

解答

(𝟙 F)_X=𝟙(FX)(η≫θ)_X=η_X≫θ_X と定めます。合成の自然性はηとθの自然性を順に使い、結合律で括弧を 整えます。左右単位律と結合律は各XでDの圏法則へ還元し、自然変換の外延性から全体の等式になります。したがって 関手を対象、自然変換を射とする関手圏が得られます。

修飾や水平合成も成分計算へ下ろし、2圏的な交換則の準備にします。

第48章

同型・自然同型・圏同値

問題本文
問題1片側逆と同型を区別する

Problem

問題

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集合の圏で左逆を持つが右逆を持たない関数と、右逆を持つが左逆を持たない関数を一つずつ構成して ください。各関数の始域・終域、片側の合成、失敗する側の反例を明記します。その後 Iso の二法則へ 翻訳してください。一方だけを省略すると対象の同型を定義できない理由を説明し、反対圏で射を読み直す だけでは不足することも同じ例から確認できれば完了です。

ヒント

包含とレトラクションで左逆だけ、全射と切断で右逆だけの例を作ります。

解答

包含 i:{0}→{0,1} は定値レトラクションrを持ち r∘i=id ですが i∘r≠id なので同型ではありません。逆に 射影 p:{0,1}→{0} は切断を持つ右可逆射ですが単射でなく同型ではありません。同型には同じ逆射が左右両方の 逆法則を満たす必要があります。左逆からmono、右逆からepiは従いますが、一般圏でmonoかつepiでも同型とは限りません。

圏同値でも完全忠実性と本質的全射性を別々に検査し、片方向の情報だけで同値としないようにします。

問題2自然同型の逆が自然であることを追う

Problem

問題

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自然同型 α:F≅G と射 f:X→Y を置き、α.hom の自然性と成分の逆法則から α.inv の自然性を 等式列で導いてください。合成の左右へ逆成分を付ける各段階で圏の結合律を明示します。成分ごとの同型を 無関係に選んだだけでは同じ導出を開始できないことを示し、自然性の役割を説明できれば完了です。

ヒント

ηの自然性式の左右へ成分逆を合成して、逆成分の自然性へ変形します。

解答

F f≫η_Y=η_X≫G f に左から η_X⁻¹、右から η_Y⁻¹ を合成します。結合律と逆法則で整理すると G f≫η_Y⁻¹=η_X⁻¹≫F f となり、逆成分族の自然性です。対象ごとの同型を逆にするだけでなく、元の自然性を 使って成分族が自然変換になることを示す必要があります。

自然同型の合成・水平合成でも、成分同型と自然性を別の証明義務として管理します。

問題3圏同値の判定条件を往復する

Problem

問題

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圏同値 C≌D から順方向関手が忠実、完全、本質的全射になる証明の構成を述べてください。逆向きには、 各 D の対象に選んだ逆像を擬逆関手の対象写像とし、完全性を使って射を持ち上げます。忠実性が関手法則の 一意性に、本質的全射性が余単位の成分に使われる箇所を特定し、選択への依存も説明できれば完了です。

ヒント

擬逆と単位・余単位から完全忠実性・本質的全射性を示し、逆向きは対象の原像を選びます。

解答

同値 F:C⥤D に擬逆Gと自然同型 GF≅IdFG≅Id があれば、hom写像の逆をGと同型成分で構成してFは完全忠実です。 任意のdは F(Gd)≅d なので本質的全射です。逆に完全忠実かつ本質的全射なら、各dに原像Gdと同型を選びます。 射へのGはFのhom全単射で持ち上げ、法則と自然同型を一意性から示します。後者の構成には対象ごとの選択が現れます。

具体的圏の同値を示す際、擬逆を直接作る方法と完全忠実・本質的全射を示す方法を比較します。

第49章

図式・錐・極限・余極限

問題本文
問題1積を離散二点図式の極限として復元する

Problem

問題

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二対象だけを持ち非恒等射を持たない形を用意し、錐のデータを頂点 P と二本の射影へ展開してください。 IsLimit.lift, fac, uniq を第43章の媒介射、二つの計算則、一意性へ一項ずつ対応させます。形が離散で あるため錐の自然性条件が追加方程式を生まないことまで説明できれば完了です。

ヒント

添字圏Jに二対象だけを置き、恒等射以外の射を持たせません。

解答

図式Dは二対象をA,Bへ送ります。Xを頂点とする錐は脚 f:X⟶Ag:X⟶B だけで、非自明な自然性条件はありません。 終錐は任意のf,gから一意な媒介射を持つので、まさに積の普遍性です。離散一対象なら極限はその対象、空図式なら 終対象になります。添字圏の射が増えると、脚の間に可換条件が加わります。

等化子・引戻しも添字圏の形を変えた極限として、個別定義を一つの概念へ統合できます。

問題2二つの極限を結ぶ同型を構成する

Problem

問題

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極限錐 s,t を仮定し、双方の lift から射 s.pt→t.ptt.pt→s.pt を作ってください。合成と 恒等射が同じ脚を持つことを fac で示し、uniq を使って二つの逆法則を導きます。単なる対象同型ではなく、 脚と可換する同型が一意であることまで証明のどの段階から従うかを示してください。

ヒント

各極限錐を、もう一方の終錐性へ入力して頂点間の射を得ます。

解答

極限錐LとMがあれば、Mの錐からLの終性で u:M.pt⟶L.pt、Lの錐からMの終性で v:L.pt⟶M.pt を得ます。 合成 v≫u と恒等射はLの各脚との合成が等しいため、媒介射の一意性から一致します。逆合成も同様です。さらにuは 各脚と可換する唯一の同型で、単なる対象同型より図式に対する整合性が強いです。

極限の異なる具体構成を交換するとき、この標準同型が後続の射と自然に可換することを利用します。

問題3引戻しと押出しを双対化する

Problem

問題

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図式 X→Z←Y の錐を展開し、二本の脚と Z への合成が等しい条件を得てください。その極限の媒介射が 引戻しの普遍性になることを述べます。全ての射を反転して押出しの余錐と余極限条件を作り、逆関数を一つも 仮定していないこと、また任意の圏で存在するとは主張していないことを確認できれば完了です。

ヒント

共通終域への二射を反対圏で共通始域からの二射として読み替えます。

解答

f:X⟶Zg:Y⟶Z の引戻しPは射 P⟶X,P⟶Y を持ち、Zへの合成が一致する普遍錐です。反対圏では f.op:op Z⟶op Xg.op:op Z⟶op Y の押出しとなり、元の圏では注入 X⟶Q,Y⟶Q と共通射への一意な媒介射を 持ちます。可換式も合成順を反転して押出しの式になります。

base changeとcobase changeの定理を反対圏で対応させ、片側だけの直観に依存しないようにします。

第50章

hom関手・普遍元・表現可能関手

問題本文
問題1hom関手の法則を合成律へ還元する

Problem

問題

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h_Y(f)(g)=g∘f から恒等射保存則と合成保存則を数式で証明してください。反変性により二射の順序が どこで反転するかを、反対圏の合成と通常の合成の双方から追います。mathlibの yoneda.obj Ymap_idmap_comp へ対応させ、可逆性を一度も仮定していないことまで確認できれば完了です。

ヒント

共変hom関手 Hom(A,-) は射fへ後合成、反変hom関手 Hom(-,A) は前合成を割り当てます。

解答

Hom(A,-)f:X⟶Yh↦h≫f を割り当てます。恒等保存は右単位律、合成保存は結合律です。 Hom(-,A) はfに k↦f≫k を反対向きに割り当て、同じ二法則で関手になります。homの二変数を同時に扱う Hom:Cᵒᵖ×C→Type では射対 (f,g)h↦f≫h≫g を与えます。

表現可能性を読む前に、どちらのhom変数を固定した関手かを必ず特定します。

問題2普遍元から自然な全単射を復元する

Problem

問題

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u∈P(Y) とし、各 Xf:X→YP(f)(u) へ送る写像を定義してください。この写像が全単射に なるために必要な存在一意性を明記し、f:X'→X に関する自然性を関手の合成保存則から証明します。 逆に表現 R から u=R.homEquiv(id_Y) を取り出し、二構成が互いに戻ることを示してください。最後に 普遍元を任意の元と取り違えると分類射の存在または一意性が失敗する例を一つ示せれば完了です。

ヒント

関手Fと元 u∈F R から、射 f:R⟶XF f(u) へ送ります。

解答

普遍元 (R,u) は各Xで Φ_X:Hom(R,X)→F X, f↦F(f)(u) が全単射になるものです。逆写像は各 x∈F X に 一意な射 f:R⟶X を対応させます。g:X⟶Y に対し F g(Φ_X f)=F(g)(F(f)u)=F(f≫g)u=Φ_Y(f≫g) なのでΦは 自然です。普遍元はRでの一要素から全対象のF要素を一意に生成します。

自由群の普遍元を生成元写像として読み、準同型全体との自然な対応を構成します。

問題3積の普遍性を表現可能性へ翻訳する

Problem

問題

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固定した A,B に対し、XHom(X,A)×Hom(X,B) へ送る反変関手を定義してください。積対象 P の 射影から Hom(X,P)≃Hom(X,A)×Hom(X,B) を構成し、自然性を合成計算で証明します。全単射の順・逆写像を 第43章の媒介射と射影へ対応させ、積の存在と関手の表現可能性が同じ主張になることを説明できれば完了です。

ヒント

関手 X↦Hom(X,A)×Hom(X,B) を、どの対象の反変hom関手が表現するか考えます。

解答

積Pと射影から Hom(X,P)≅Hom(X,A)×Hom(X,B) がXについて自然に得られます。従って反変関手 Hom(-,A)×Hom(-,B) はPにより表現されます。普遍元はX=Pで恒等射に対応する対 (π₁,π₂) です。逆にこの関手の 表現対象Rと普遍元を取れば、その二成分を射影とし、自然全単射から積の媒介射と一意性を回収できます。

極限一般を「錐の関手」の表現対象として捉えると、普遍性と表現可能性が同じ構造になります。