A Lean-checked textbook of structures

Formal Lab

論理・型・計算・圏を、数学的記述とLeanによる検査の往復から理解する。

Mathematical judgmentΓ ⊢ t : A文脈 Γ のもとで、項 t は型 A を持つ
Lean declaration#check telaboratorが補い、kernelが検査する
82
章
268
問題
140
用語
85
文献
Lean 4.32.2
検査環境

本書は、論理・数学・型理論・圏論を、通常の数学的記述とLeanによる検査を往復しながら学ぶための 教科書です。初めから順に通読することも、後の目的別案内から必要な経路を選ぶこともできます。 各章は一つの主題を、問題となる具体例、定義と定理、形式化、研究史、問題の順に掘り下げます。

Leanの操作を覚えることだけが目的ではありません。通常の数式と、その近くに置かれたLeanの宣言を 同じ内容の二つの表現として見比べます。すると、紙の上では省略されやすい型、引数、束縛、仮定が見え、 定義・計算・証明の違いを自分で確かめられます。Leanの動作が数学的な結論に関係する場合も、必要な 箇所で仕組みと影響を説明します。

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目的別の読書案内

専門用語を先に知っている必要はありません。いま見抜きたいこと、できるようになりたいことから経路を選べます。

01

数式で省略されている前提を見抜きたい

第1〜3章で、式を型・項・入力・出力に分けて読む習慣を作ります。第5〜9章では、命題、量化、等式の 背後にある型と束縛をLeanで確かめます。第20〜22章の集合・関数・関係で通常の数学へ戻り、第31・32章で 添字や「値に依存する型」まで同じ読み方を広げます。

02

数学の証明をLeanで組み立てたい

第1〜3章でLeanの式を読む最小限の基礎を得た後、第6〜10章で仮定と結論、量化、等式、推論規則を学びます。 第20〜23章では、集合・関数・関係・帰納法の証明を、紙の上の議論とLeanの証明項の両方で組み立てます。 まず演習まで自力で進みたい読者の基本経路です。

03

論理とプログラムが同じ言葉で書ける理由を知りたい

第2〜4章で関数、データ、ラムダ計算を確認し、第6・10・11章で命題、推論、型判断との対応を見ます。 第12〜14章では代入、評価、再帰型を通じて「項を実行すること」と「項を証明として読むこと」を分けて 接続します。第31〜33章へ進むと、依存型と構成計算までを一つの型体系として見渡せます。

04

再帰と帰納法がなぜ正しく働くか理解したい

第3章の構成子と再帰、第23章の帰納法から始めます。第27〜30章で最小・最大不動点、第36・37章で一般の 帰納族とW型を学ぶと、有限データと無限の振舞いを区別できます。さらに第54〜57・66〜69・82章へ進めば、 始代数・終余代数と再帰型の意味論が、同じ原理を別の側から説明することを確かめられます。

05

違う分野に現れる「同じ構造」を見つけたい

第20〜22章の集合・関数・関係を具体例として、第42〜44章で「対象そのもの」ではなく、それを特徴づける 写像の条件を読みます。第45〜47章で圏・関手・自然変換という比較の言葉を導入し、第48〜53章で同値、 極限、表現可能性、米田、随伴、モナドへ進みます。分野ごとの記号の奥にある共通の形を探す経路です。

06

型理論と圏論が数学をどう支えるか見渡したい

第31〜33章で依存型側の見取り図を得て、第42〜52章で普遍性から圏論を組み立てます。第70〜74章では 関数型・単純型・依存型を圏の中で解釈し、第75〜78章では資源、計算効果、内部論理まで同じ視点を広げます。 個々の専門語を先に選ぶのではなく、本書の後半が前半をどう説明し直すかを追う総合経路です。

The complete text

全82章

章番号は引用の基準、部は問題領域、リンクの順序は概念の前提に逆行しない通読順です。

Part 1 · 第1–5章

形式化の基礎

式を作り、束縛し、計算する
  1. 第1章型・項・定義・計算
  2. 第2章関数・適用・合成
  3. 第3章帰納型・場合分け・再帰・構造体
  4. 第4章非型付きラムダ計算——束縛・代入・簡約
  5. 第5章宇宙階層と宇宙多相

Part 2 · 第6–10章

命題と証明

文を命題にし、証拠を構成する
  1. 第6章命題・証明・含意
  2. 第7章命題論理と構成的・古典的推論
  3. 第8章述語・全称量化・存在量化
  4. 第9章等式・代入・外延性・一意存在
  5. 第10章自然演繹・シーケント計算・証明の正規化

Part 3 · 第11–19章

型付き計算

計算が型を保ち、型が振舞いを制約する理由を追う
  1. 第11章単純型付きラムダ計算——型判断を規則として読む
  2. 第12章弱化・交換・縮約・代入
  3. 第13章操作的意味論・一段簡約・評価戦略
  4. 第14章再帰型・fold/unfold・型の無限展開
  5. 第15章保存・進行・型安全性
  6. 第16章正規形・弱正規化・強正規化
  7. 第17章System Fとインプレディカティブ多相
  8. 第18章論理関係と基本補題
  9. 第19章パラメトリシティとfree theorem

Part 4 · 第20–25章

数学の基本言語

集合・関数・関係・濃度を形式化する
  1. 第20章集合を述語として読む
  2. 第21章数学的関数とその性質
  3. 第22章関係・同値・順序
  4. 第23章自然数の再帰・場合分け・帰納法
  5. 第24章順序・上限・下限・極大原理
  6. 第25章有限性・可算性・基数・無限

Part 5 · 第26–30章

再帰・不動点・無限

有限な規則から停止と無限の振舞いを分けて導く
  1. 第26章整礎関係・整礎帰納法・停止する一般再帰
  2. 第27章束・完備格子・単調作用素
  3. 第28章最小・最大不動点とKnaster–Tarski定理
  4. 第29章最大不動点・余帰納的述語・双模倣
  5. 第30章領域理論・連続写像・再帰方程式

Part 6 · 第31–41章

依存型と型システム

値に応じて変わる型と、その形成・推論・拡張を理解する
  1. 第31章型族・依存関数型・依存対型
  2. 第32章同一性型・輸送・外延性原理
  3. 第33章純粋型システム・ラムダ・キューブ・構成計算
  4. 第34章部分型と篩型
  5. 第35章添字付き帰納族
  6. 第36章一般帰納族・除去規則・厳密正値性
  7. 第37章W型・整礎木・多項式的帰納型
  8. 第38章高次同一性・一価性・ホモトピー型理論
  9. 第39章商型と代表元によらない定義
  10. 第40章法則を持つ構造と型クラス探索
  11. 第41章型推論・単一化・双方向型付け

Part 7 · 第42–50章

圏論の言語と普遍性

構成を射の振舞いと普遍性によって特徴づける
  1. 第42章始対象と終対象——零項の普遍性
  2. 第43章積の普遍性
  3. 第44章余積と双対性
  4. 第45章圏・射・反対圏・宇宙
  5. 第46章関手——圏の構造を保つ写像
  6. 第47章自然変換と関手圏
  7. 第48章同型・自然同型・圏同値
  8. 第49章図式・錐・極限・余極限
  9. 第50章hom関手・普遍元・表現可能関手

Part 8 · 第51–57章

米田・随伴・代数

普遍的な対応から構成と振舞いを一意に取り出す
  1. 第51章米田の補題と米田埋め込み
  2. 第52章随伴——homの自然同型・単位・余単位
  3. 第53章モナド・余モナド・Kleisli圏・Eilenberg–Moore圏
  4. 第54章自己関手の代数と代数準同型
  5. 第55章始代数・fold・Lambekの補題
  6. 第56章自己関手の余代数と余代数準同型
  7. 第57章終余代数・anamorphism・振舞意味論

Part 9 · 第58–65章

局所性と圏論的拡張

局所データ、関手の延長、構造を持つhomへ圏論を広げる
  1. 第58章前層――局所データを制限する反変関手
  2. 第59章篩・Grothendieck位相・サイト
  3. 第60章層条件・貼り合わせ・層化
  4. 第61章比較関手・モナド性・Beckの定理
  5. 第62章end・coend・双自然性
  6. 第63章Kan拡張——関手の普遍的な延長
  7. 第64章モノイダル圏——テンソル積と整合性
  8. 第65章豊穣圏——hom集合を構造ある対象へ置き換える

Part 10 · 第66–69章

帰納・余帰納・無限の接続

型・論理・圏に現れた生成と観察の原理を照合する
  1. 第66章帰納型・帰納法・始代数——三つの生成原理を接続する
  2. 第67章W型・多項式関手・自由代数——形と位置から帰納構造を作る
  3. 第68章余帰納法・双模倣・最大不動点・終余代数——関係と振舞いを接続する
  4. 第69章無限の三つの意味——基数・尽きない観察・無限図式

Part 11 · 第70–74章

型理論の圏論的意味論

型・項・代入を圏の対象・射・普遍構成として再構成する
  1. 第70章デカルト閉圏——積・指数対象・カリー化
  2. 第71章単純型付きラムダ計算の圏論的意味論——判断を射へ移す
  3. 第72章スライス圏・添字圏・ファイブレーション——変化する文脈の上で対象を運ぶ
  4. 第73章局所デカルト閉圏——依存積を再添字付けの右随伴として捉える
  5. 第74章依存型理論の圏論的意味論——文脈・型・項・代入を再構成する

Part 12 · 第75–82章

論理・計算の圏論的意味論

資源・効果・真理値・再帰を、それぞれに適した圏構造で説明する
  1. 第75章モノイダル閉圏——内部hom・評価・自己豊穣化
  2. 第76章線形論理・線形型——仮定を資源として追跡する
  3. 第77章指数様相と線形・非線形意味論——複製可能性を追加構造として制御する
  4. 第78章モナドと計算効果——値から計算を分離して合成する
  5. 第79章代数的効果とハンドラ——自由な計算へ解釈を与える
  6. 第80章トポスと部分対象分類子——真理値で部分対象を分類する
  7. 第81章トポスの内部論理——部分対象・量化・局所的真理を読む
  8. 第82章再帰型の意味論——構文・近似・関手不動点を接続する