本書は、論理・数学・型理論・圏論を、通常の数学的記述とLeanによる検査を往復しながら学ぶための
教科書です。初めから順に通読することも、後の目的別案内から必要な経路を選ぶこともできます。
各章は一つの主題を、問題となる具体例、定義と定理、形式化、研究史、問題の順に掘り下げます。
Leanの操作を覚えることだけが目的ではありません。通常の数式と、その近くに置かれたLeanの宣言を
同じ内容の二つの表現として見比べます。すると、紙の上では省略されやすい型、引数、束縛、仮定が見え、
定義・計算・証明の違いを自分で確かめられます。Leanの動作が数学的な結論に関係する場合も、必要な
箇所で仕組みと影響を説明します。
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目的別の読書案内
専門用語を先に知っている必要はありません。いま見抜きたいこと、できるようになりたいことから経路を選べます。
01数式で省略されている前提を見抜きたい
第1〜3章で、式を型・項・入力・出力に分けて読む習慣を作ります。第5〜9章では、命題、量化、等式の
背後にある型と束縛をLeanで確かめます。第20〜22章の集合・関数・関係で通常の数学へ戻り、第31・32章で
添字や「値に依存する型」まで同じ読み方を広げます。
02数学の証明をLeanで組み立てたい
第1〜3章でLeanの式を読む最小限の基礎を得た後、第6〜10章で仮定と結論、量化、等式、推論規則を学びます。
第20〜23章では、集合・関数・関係・帰納法の証明を、紙の上の議論とLeanの証明項の両方で組み立てます。
まず演習まで自力で進みたい読者の基本経路です。
03論理とプログラムが同じ言葉で書ける理由を知りたい
第2〜4章で関数、データ、ラムダ計算を確認し、第6・10・11章で命題、推論、型判断との対応を見ます。
第12〜14章では代入、評価、再帰型を通じて「項を実行すること」と「項を証明として読むこと」を分けて
接続します。第31〜33章へ進むと、依存型と構成計算までを一つの型体系として見渡せます。
04再帰と帰納法がなぜ正しく働くか理解したい
第3章の構成子と再帰、第23章の帰納法から始めます。第27〜30章で最小・最大不動点、第36・37章で一般の
帰納族とW型を学ぶと、有限データと無限の振舞いを区別できます。さらに第54〜57・66〜69・82章へ進めば、
始代数・終余代数と再帰型の意味論が、同じ原理を別の側から説明することを確かめられます。
05違う分野に現れる「同じ構造」を見つけたい
第20〜22章の集合・関数・関係を具体例として、第42〜44章で「対象そのもの」ではなく、それを特徴づける
写像の条件を読みます。第45〜47章で圏・関手・自然変換という比較の言葉を導入し、第48〜53章で同値、
極限、表現可能性、米田、随伴、モナドへ進みます。分野ごとの記号の奥にある共通の形を探す経路です。
06型理論と圏論が数学をどう支えるか見渡したい
第31〜33章で依存型側の見取り図を得て、第42〜52章で普遍性から圏論を組み立てます。第70〜74章では
関数型・単純型・依存型を圏の中で解釈し、第75〜78章では資源、計算効果、内部論理まで同じ視点を広げます。
個々の専門語を先に選ぶのではなく、本書の後半が前半をどう説明し直すかを追う総合経路です。
The complete text
全82章
章番号は引用の基準、部は問題領域、リンクの順序は概念の前提に逆行しない通読順です。